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それは奇跡なんかじゃない【ジャニーズWEST1/24福岡公演】

1月23、24日。
ジャニーズWESTアリーナツアー『ラッキィィィィィィィ7』

その日ちょうど西日本は大寒波に襲われ、福岡では40年振りの大雪。
交通網も混乱を極め、普段雪が積もることがほぼ無い福岡でスタッドレスを付けた車もほとんど無く、全ての車が徐行して走っている為全く予定通りには行かなかった。


それでも23日はまだ良かった。
聞いていたよりも雪はほぼ降らず、マリンメッセの立地上吹き付ける海風に震えるだけだった。

だが一夜明け24日。
朝の段階ではほぼ降っていなかった雪が、目を離した一瞬の隙に吹雪に変わっていった。
24日は2回公演。1部は11時に開演する。
マリンメッセへの直通バスもタクシー列も驚くほどの長さだった。
それでも私達は何とか開演20分前に到着し、何とか5分前には席に着くことができた。しかし会場は空席が目立ち、まだまだ続々と席へ急ぐ人々。開演5分前の合図でもある注意アナウンスは11:02分頃にスタートし、ジャニーズとしては異例の10分以上開演が押すこととなった。

その時会場には不思議な波が起こり始めていた。
客入れに合わせて流れるBGMに合わせて微かに聞こえる歌声と揺れるペンライト。それはいつしか会場全体を包み込む大きな波になっていた。
あの時の客席の一体感はそれはもう凄かった。
そして『ええじゃないか』『粉モン』のBGMが終わった瞬間落ちる客電。
待ってましたと言わんばかりに歌声は歓声に変わる。
オープニング曲に合わせて登場した彼ら。
照史くんが叫んだ。
「お前らの歌聞こえてたぞー!!」
客席のボルテージはその一言で完全に振り切れた。
駆け出した彼らに追う歓声。
そして今度は淳太くんが、
「今度は一緒に歌うぞー!!」
そう叫んで始まったデビュー曲『ええじゃないか』
大合唱だった。
普段だったら私は公演中、声を出して歌わないようにしている。テンションが上がって声が出てしまうことはあっても、あんなに大熱唱したことはない。どちらかと言えば、近くにそんな人が居ると「歌わないでくれ」と注意するタイプの人間だ。
それがそんなことも忘れて歌い踊り狂っていた。

何が凄かったとか、どう凄かったとか、言葉では言い表せない。
とにかく、凄かったんだ。
きっとこの感覚は、あの日あの会場に居た人にしか伝わらない、『熱気』と『気迫』と『涙』があったんだと思う。
メンバーが出てきた瞬間から客席の熱気と、1曲目からメンバーの気迫が全く違った。
最初の挨拶で神山くんが語った、
「みんなの気持ち受け取ったから、今度は俺達が返す番だ。まだ辿り着けてないこれから来るみんなの為にも、俺達には全力で温めておく義務がある」
熱い熱い言葉。客席がその言葉に大きく頷いたようにも感じた。
そしてこのツアー中、特に平静に挨拶をしていた重岡くんが私が知る限り初めて興奮したように話し出したことも印象に残っている。

ここから2時間あるんだよ?まだ2部もあるんだよ?みんなが心配になるくらいのペース配分。
でも最高だった。
メンバーが居るから私達が居て、私達が居るからメンバーが居る。完全にあの会場に居た全員が一つだった。
何綺麗事言ってるのとか、神山くんみたいな臭いこと言わなくていいからとか、思われるかもしれないけど。
本当に本当に、私のちっぽけな語彙力ではこれが限界。

そして1部終演後、客出しで表に出てみれば次の開場までもう1時間もない。
なんやかんやでてんやわんやと再び中に入ると、再び歌い出す客席が耳に飛び込んで来た。
今回ばかりはジャニストコールをしようとした方々も肩なし。歌い続ける客席とBGMの音量を上げるスタッフさん。そしてさっきと違ってフルで流れる粉モンに、2番の歌詞がみんなあやふや過ぎて広がる苦笑。間奏に行った瞬間「ハイハイッ!」みんな調子良過ぎやで(笑)

飛び出して来た彼らはやっぱり嬉しそうで、最高に楽しそうだった。
これが終わったら次は3月の新潟まで長く空いてしまう。体力を全て振り絞るようなパフォーマンス。
少なくとも私は小瀧担として、今までで一番と胸を張って言えるパフォーマンスでした。


ですがその日、本編終了後いつも通りすぐに始まるジャニストコールに合わせて、彼女は入って来ました。係の人に案内されてアリーナ席に辿り着いた彼女は号泣していました。
その公演中ずっと空席だった席に着くと、鞄もコートも下ろさずに、彼女は泣き崩れてしまいました。
今でもお連れの方が彼女に掛けた言葉が忘れられません。
「今は楽しもう。泣くのは終わった後でもできるでしょ?」
前の用事が思ったよりも長引いてしまったのか、それともこの悪天候で交通機関が思ったように進まなかったのか、その両方なのか。
必死でマリンメッセに辿り着いた彼女は、アンコールとWアンコールを全力でちゃんと楽しめたでしょうか?それだけが不安です。
ともすれば、途中で心が折れて諦めてしまいそうにもなるのに、彼女は最後まで諦めないで会場に辿り着きました。私だったらどうだろう。きっと途中で諦めて帰っていたかもしれない。事実私の友人は渡航を諦め、1つ空席を作ってしまいました。
あなたが入って来た時、私は息を飲んでしまいました。まさかと思ったんです。泣き崩れるあなたにもらい泣きをしてしまいました。
ですが数日経って今は、あなたに拍手を送りたい気持ちでいっぱいなのです。ありがとう、良くぞ辿り着いてくれました。
私には、あの3曲があなたの為に用意されていたと言っても過言ではないように思うのです。

ちゃんと楽しめましたか?幸せは貰えましたか?きっと私が考えてる何倍も、悔しいと思います。
でも忘れないで。
あなたは最後まで諦めなかった。それは凄いことです。ちょっとやそっとじゃ真似できないことです。
あの日あなたは、「間に合わなかった」と泣いていたのかも知れない。でも違う。あなたは「間に合った」んです。あの最高のステージを一緒に見た目撃者です。

それは奇跡なんかじゃなくて、『あなたの最後まで諦めない勇気』でした。